研究
診療の中で生じた疑問や課題を解決するために、様々な分野の研究に取り組み、新たなエビデンスを創出しています。
臨床研究
多くの多施設共同研究や他領域と連携した学際的な研究を行っています。
感染症における最新技術を駆使した研究や、AIを用いた臨床研究など、最先端な臨床研究にも取り組んでいます。
基礎研究
健常な血管内皮細胞の内腔には「グリコカリックス」と呼ばれる、糖たんぱく質複合体が存在し、微小循環の恒常性を保っています。グリコカリックスは容易に損傷剥離し、敗血症などの急性ストレス下のみならず糖尿病などの慢性ストレス下においても障害されます。
糖尿病は敗血症の最も多い合併症であり、共に疾患背景に「微小血管障害」があることから、「糖尿病患者が感染症で重症化するのはグリコカリックス傷害に伴う微小循環障害が原因ではないか」と仮説を立て、研究を行っています。
これまでに、糖尿病マウスでは①血管内皮グリコカリックスが慢性的に菲薄していること、②LPS投与時に血管内皮グリコカリックスがさらに傷害されること、③炎症反応が遷延し、肺障害および生存率が悪化することを明らかにしました。
現在、次のステップとして糖尿病マウスに薬剤を投与し、血管内皮グリコカリックスが回復し、生存率が改善するか検討を行っています。
データベース研究
DPCデータベースやJIPADといった日本全国規模の様々なビッグデータを駆使し、救急・集中治療領域における"いま"のリアルな課題に真正面から挑んでいます。膨大なリアルワールドデータを解析し、これまで見えなかった診療の本質を可視化し、次世代の医療を切り拓くことを目指しています。
敗血症、急性呼吸不全、長期人工呼吸器管理といった、誰もが向き合うべきテーマに対し、データサイエンスの力を武器に、新たなエビデンスを生み出しています。
データの海に潜り、最先端の知見とスキルを磨き、未来を創る挑戦に、共に取り組んでくださる仲間を心から歓迎します。
研究開発
医学教育ツールの開発
持続可能な救急医療を提供していくために、現場で活躍する若手医療従事者の質の高い教育を行っていくことは必要不可欠です。
一方で働き方改革により就労時間の短縮が求められる中で、医療現場での教育にかけられる時間は減少してきており、指導者の負担を減らしながら質の高い教育を行う工夫が求められています。当科ではこうした医療現場での課題を解決するために企業との共同研究で医学教育ツールの開発を行っております。
株式会社CERCIT(当科横川が代表取締役)と共同開発したシミュレーション教育支援プログラム【GrowSIM救急初期診療編】は社会実装され、医療現場で若手医療従事者の教育に活用されています。
プレスリリース:https://www.hosp.tohoku.ac.jp/release/press/40686.html
現場の課題解決のための研究・開発に興味のある方、一緒に未来を変えていきましょう。