東北大学病院
高度救命救急センターについて

Hybrid ER

一刻を争う重症患者さん治療のためのハイブリッドER ― iTUBE

世界中の多くの病院の救急初期診療は、初療室で患者さんの状態の評価と安定化をしてからCT室に移動して検査をし、その結果に基づいて血管撮影室や手術室に移動して治療を行っています。重症救急患者さんの治療では“時間”がとても大切です。

ハイブリッドER ― iTUBEは、CT、血管撮影装置と手術室機能を備えた初療室です。重症救急患者さんに対して、初期治療をすると同時に、移動することなく、①CT検査、②止血などのための血管内治療や手術を可能とするものです。

一刻を争う状態の不安定な患者さんに対して、時間をかけて移動してから検査や治療をするのではなく、“ひと”と“もの”を集約して短時間に治療をするためのスペシャルユニットです。

iTUBEでは、高リスク受傷機転の外傷患者、Extracorporeal cardiopulmonary resuscitation (ECPR; V-A ECMOを用いた心肺蘇生)を要する心停止患者、脳卒中患者を中心に、CT撮影・透視使用・血管内治療を優先して行う重症な救急患者の初期診療から治療を行います。重症多発鈍的外傷に対する緊急IVRや手術、四肢・骨盤骨折に対する創外固定術、頚椎・頚髄損傷に対する整復・外固定術、大動脈損傷に対するステントグラフト内挿術やECPR、脳梗塞に対する血栓回収術を行っています。

一刻を争う状態の不安定な患者さんに対して、“ひと”と“もの”を集約してシームレスに治療をするためのスペシャルユニットとして、診療スキームを構築してきました。ハイブリッド ERのより効果的な運用に向けて多職種で取り組む勉強会やシミュレーションも定期的に行い、文字通り運用するスタッフも含めてのハイブリッド ERシステムが形になってきました。迅速かつ正確な初期診療とシームレスな集学的治療を組み合わせることで、より多くの重症患者を救命できるようになってきました。